【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
思えば、何度目の転校だろうか。
三度目だ。
もう、転校にも慣れたようで、
何も感じなくなっていた。
新しい学校で、特に友達を作る気はなかったけれど、うちのクラスは全員が仲良くて、
無理やり俺もその輪に入れられた。
クラス会には必ず出席させられたし、ことあるごとに、役員にされ、嫌でも馴染んでいった。
そしてひとつ、
とても、謎なことがあった。
転校してきた初日からずっと、
何度も告白をされた。
まったく理解できなかった。
しかもほとんどが初めて見るような人で、
さらにわけがわからなかった。
今までこんなことは一度もなかったのに。
もちろん、全部お断りはした。
そして、幾度となく、同じ夢を見た。
それがもっと不思議なことで、
肩まで伸びた黒髪が、風に揺らぐ。
彼女は、
いったい誰なのか。
俺には分からない。
彼女は決まって、俺の方を少しだけ見て、何かを呟いていた。