【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「なんでもするから、料理作ろうか?」
「りょ、料理はいい…っす」
「じゃあどうしたらいいの」
キノは腰に手をあてがって私をじっとみつめた。
私も見つめ返した。
「あの、さ」
「なに」
「抱き締めていい」
「え」
え?え?え?
わずか1秒の間に
数えきれないほどの疑問符がポンポンと…
ダキシメテイイ?
なんだそれ
何を意味する言葉だ
駄目だ頭が混乱してる。
「いい?」
「えっ、と、」
「抱き締めたい」
キノは床に目を落として黙りこんだ。
だから、黙らないでよ
私、なんて答えたらいいのよ。
キノのお願いならなんでも叶えるよ
私が拒否する意味ある?
だって私は
キノが好きなんだよ
「いい、けど」
私もこの空気に耐えきれず膝に目を落とした。
初めてだこんなの
キノがこんなお願いするのも
こんな恋人らしい甘酸っぱいドキドキをキノのせいで味わうの
思ったよりずっと
心臓やばい