【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
引き留める間もなく立ち上がったマヒロくんは会計をすませるとカフェを出ていった。


それとすれ違うように女子高生の二人組がマヒロくんを気にしながら店内に入ってきた。


入ってくるなり楽しそうに話し始める。



「あの人さっきやばくなかった?」


あの人は、マヒロくんのことで間違いないだろう。

さすがマヒロくん


他校の女子にも注目されたみたいだ。



「イケメンだったけどさ、最後の一言はないよ」


「あれはないよねー」


「なんだっけ、"どうせセックスしたいだけなんだろ、ビッチ女"って」


「イケメンなのにね、ちょっと残念」


すまないマヒロくん

聞いてしまったよ。

悪気はないんだ、うん。


…まじで

マヒロくんが、そんなひどいことを?


あの紳士で優しい面倒見のいいマシロくんが!?


まじかよっ


あんなゲスいことを口走っていたなんて。

信じられない。


私、マヒロくんのことは案外知ってると思っていたけれど

何も知らなかったみたいだ。


思った以上にプレイボーイで
ゲスくて


……だけど


悪い人なわけない。

きっと何かあったんだろう。
あのお姉さんがしつこかったって言っていたし


……しつこいか、


マヒロくんの基準は分からないけれど

あのお姉さんがどれほど傷ついただろう


ずっと好きだった人に
いきなり突き放されたら

きっと、すごくつらい
< 59 / 415 >

この作品をシェア

pagetop