【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「タカはさー、なんかあれだよね。
ツンデレ?」


「…違う気がするけど」


キノはちっちゃいフォークでウインナーを突き刺すとそれをかじった。

それにしてもキノの弁当は高校生男児のものとは思えないくらいヘルシーでちっちゃい。


てか、かわいい



「だってさー、俺にあまり優しくしてくれないけど
好きっていってくれんじゃん」


「デレてないじゃん」


「え?デレてねーの?」



モグモグと口を動かしながら首を傾げるキノ。

確かに好きとは言うけど

それはなんというか
ツンデレの場合照れながら言うというか


そもそもツンのとこだって私の場合

"あんたなんか好きじゃないんだからね!"ではなく

"キノはゴミクズ"だし。


色々違うよね。


「タカはもうちょい俺に優しくするべきだと思うんだ」


「なんで?」


「えっ、だってタカいっつも俺の扱い雑じゃん」



そうでしたっけ。

普通に話してただけだけど。

ていうかその原因キノじゃね。



「優しくって具体的にどうしたらいいの」


「えっとねー、いつもにこにこ笑ってー"課題見せてあげるね!"とかー、"隆也くん大好き!"とかー、」

「ごめん、寒気がした」


「いーじゃん、俺優しくされてーもん!」



ぶーぶーブーイングするキノにため息。
優しくしたいとも思ったことないけど私もともとそんな純粋な清楚女子のキャラじゃないし。


だいたい

優しくできてるならやってるし。




「わかった!とりあえず、慣れだ!
ひとまず"隆也くん"て呼んでみーよ!」


「なんで?キノはキノじゃん」


「そういうのいいから!タカの口から"隆也"を聞きたいの」


そのよく分かんない理由はなんですか。

キノはもう聞く気まんまんで私の言葉を待ってる

待てを食らってる犬みたいなキノ。
私は少し犬っぽいキノに弱かったりする。


むしゃくしゃに撫でたくなっちゃう。
< 6 / 415 >

この作品をシェア

pagetop