【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「え?知らねー」
あっけらかんと返答するキノに私はポカンと口を開けた。
翌日の劇の練習のとき
キノにマヒロくんは昔どんな人だったか聞いてみた回答がこれだった。
「知らないわけないじゃん。だって中学二年のときから一緒なんでしょ?」
「まあ、そうだけど、あ、イケメンでー優しかった
で、委員長で、うんと、モテてた」
「そういうんじゃなくてね、なんかさ、こう
女の子はべらしてたみたいな」
「あ、そういえば居たかも、彼女
高校生の
はべらしてはないと思うけど」
なんだ、結構知ってるんじゃん。
総合してみると、イケメンで優しくてモテてて
高校生の彼女がいた。
…彼女の有無以外は今とあまり変わらないみたいだけど。
「なんでそんなこと聞くの?」
「え?別に」
「マヒロのこと気になるの?」
まっすぐ目を見据えられて怯む。
さすがに昨日の話は出来ないし
「ちょっと、なんか、マヒロくんは私の思っていた人と違うかもしれなくて
確かめたくなってしまったから」
キノはふーんと鼻をならすと口を尖らせた。
「俺、マヒロあんまそういうこと話してくんないから、分かんないけど
一個思い出した」
「何を?」
「七瀬さんね、同じ中学出身だった」
思い切りがくっと床にくずれそうになった。