【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

なんでいきなり七瀬さん出てきたの。


てか、中学一緒だったのに忘れてるってどゆことだよ。



「ちょっとそんな呆れた顔しないでよ

その七瀬さんも中学2年と3年で委員長で

マヒロと委員長してたよって言いたかったんだって」

「え、そうなんだ」


「だから、七瀬さんならなんか知ってるかもしんないよ
知らないけど」


無責任にそう言うキノ。


確かに同じクラスの委員長二人

何か知っているかもしれないけれど


あの七瀬さんに聞くか?


恐ろしいわばか


だけど、聞きたい。

悪い気は少なからずしているけれど

それ以上に

マヒロくんがあんなことを簡単に言った理由が知りたかった。


マヒロくんの過去を探って知れる確証はないけれど



「タカ、一個いい」


「え?」


「俺嫉妬してんだけど」


「………………!?」


しばしの思考回路の整理の後
勢いよく振り向いてキノを見上げる。

普通に会話していたのに

急に話題変わった気がするんですけど


キノはとくに表情を変えるでもなく軽く私の指先に触れた。



「マヒロマヒロマヒロって、マヒロのこと知ってどうするつもり」


「は?別に、どうも…」


「マヒロのことタカが深く知って二人がもっと仲良くなるの

嫌なんだけど」


それキノが言うか!?

キノだってマヒロくんマヒロくんいってんじゃんいつも。


だいたい

マヒロくんは色んな女の子と遊ぶのが好きで

よりによって私一人にしぼるわけもないし



「マヒロくんと話す訳じゃないし
あとそんなに深く知りたいわけでもなくて


ただ中学のときはどうだったのかなって聞きたいだけだから」


「……ほんとーに?」


「ほんとーです」


「じゃあチューして」


「また今度ね」


少し機嫌の悪そうなキノ。
あんな飄々としてるキノが嫉妬なんて機能を持っていたなんて


正直

ちょびっと
嬉しかった。
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