【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「高橋さんだー」
にこっと微笑みかけられ私も愛想笑いをする。
なんて切り出せばいいだろ
「高橋さんお話しようよー
高橋さんとお話したいなー」
「うん、私もちょうど話したいと思ってて」
「やったー、じゃあテラスにでも出る?」
私は了解して七瀬さんの後ろを歩いていき、テラスに出た。
学校内は蒸し暑いけれど
テラスはずいぶんと涼しく感じられた。
青い空白いくも
そしてキノのさっき見上げていた虫、モンシロチョウ…
なんでだろう
ちょっとどんよりしてしまった
「高橋さん、キノくんどうやったらなついてくれるの?」
七瀬さんの第一声が
これだった
「う、うーん、やっぱり根気が大事かなぁ」
「根気ぃ?長期戦はいやなんだよなあ
木野くんお色気きく?」
「効かない効かない、鈍くできてるから」
…と、前までは思っていたけど
案外最近はそうでもない気がしてきたんだった。
「ふーん、高橋さんはいいね!あんなになついてもらって!」
「別に良かないけど」
「なんかめんどくさくなってきちゃったな、やめよっかな」
「………………お?」