【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


同じくカラオケに誘われたヒロちゃんが断るのを見て、ヒロちゃんに駆け寄った。


「今日そのまま家いっていい?一度帰るの面倒だし

あ、あと、買い物しないとだから付き合ってよ」


帰る準備をしているヒロちゃんにそう言うと

ヒロちゃんはうーん、と唸った。


「ごめん、ちょっとこのあと先生に用あるから

鍵貸すから先行っといてよ」


ヒロちゃんは軽く笑いながら私の手のひらに鍵を置いた。

二人で買い物できると浮かれていた私は少し肩を落とした。

けど、

鍵を託されるなんて、信頼されてる証拠じゃない?


そう思いながら私は自分を納得させスーパーに向かった。

ヒロちゃん先生になんの用事だったんだろ。


「ヒロちゃんは確かニンジンとピーマンが嫌いでー

牛肉もあんまり好きじゃないんだよねー」


ニンジンやピーマンを手に取りかごにいれていく。

牛肉もしっかり見て選んでかごに入れる。

好き嫌いはよくないからな、うん。

私がヒロちゃんのお母さんのようにニンジンの入っていないあまーいポークカレーを作ると思うなよ。


ニンジンぶつ切りのからいビーフカレー作ってやる。ピーマンのサラダもつけて

恨みなんてないけど

いつもさらっと笑ってるヒロちゃんの顔が苦々しくなるのを見るのは楽しいのでそうする。
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