【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「…8時…」
うそ
余裕で4時間寝た!!?
すげー!!
…じゃなくて、
辺りを見回してみる。さすがにヒロちゃん帰ってるだろうと思っていた。
だけど
リビングは真っ暗で
人気はまったくなかった。
ヒロちゃんが帰ってきた形跡はなにもなかった。
鞄もないし
玄関には靴もなかった。
携帯に連絡をしてみたが繋がることはなかった。
冷静になって、玄関に座り込んだ。
まさか、どうして
こんな時間まで?
頭をよぎるのは事故に遭ったとか縁起悪いことばかりで
どうしよう
ヒロちゃんが心配だからってお母さんたちに私はヒロちゃんのことお願いって頼まれたのに
ヒロちゃんにもしものことがあったら…
涙が出そうになった。
こういうときってまずどうしたらいい?
警察?
とりあえず探しに…
ガチャン
そのとき、
玄関の扉が開いた。
「……エリカ?」
「ヒロちゃん!!」
目の前に
ぎょっと目を開いたヒロちゃんが立っていた。
「なんで正座してんの?」
「なんでじゃねーし!!何時だと思ってんの!?
携帯も繋がんないし」
「ご、ごめん、携帯充電切れてて使えなくて」
「もういい!よかった!ヒロちゃんになんかあったら私が怒られるじゃん!」
「お、おお、わりぃ」
なんだかぎこちなく謝るヒロちゃんに少し違和感を感じた。
私はカレーを温め直してヒロちゃんのぶんを盛った。
ヒロちゃんは一言も喋らず食卓に座ってぼーっとしていた。
なんか、変
「ヒロちゃん?なんか、あった?」
「え!?あ、いや、なんもない」
「うそ、なんで隠すの」
「隠してねーって、早くカレーちょうだい」
「へいへい」
この焦りよう
何かあったに違いない。