【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「ごめん、それは、無理」
「どうして?私のこと嫌い?」
「嫌いなわけないだろ、好きだよ、幼なじみとして
大切だし、一番の理解者だし、確かに、可愛いし」
「じゃあいいじゃーん、無理とか言うな」
「俺、彼女、いるから」
ついに
ヒロちゃんは自分の口でそう告げた。
知ってるよ
知ってるのに
なんで改めてこんなに落胆してるんだろう。
ヒロちゃんは私から目を離さなかった
私はもう離したかった
本格的に泣きそうになった。
「年上で、エリカの知らない人
今はその人が一番大事で好きだから、
エリカとは付き合えない
付き合ってることは誰にも言わないって、アミさんに…
彼女に言われたから、秘密にしてたんだけど」
「年上?ヒロちゃん、遊ばれてるんじゃないの
言っちゃダメなんておかしいじゃん、絶対騙されてるって!」
「アミさんは、そんな人じゃねーよ」
ヒロちゃんの声のトーンが一気に低くなった。
少しびくつきながらも、私は続けた。
悔しくて
空しかった
私の知らないアミさんとかいう人が
ヒロちゃんの心の一番にいることが。
「ヒロちゃん、きっと中学生だから、もてあそばれてんだよ
ダメだよ、ヒロちゃん、私、」
「……エッチ、したから」
「は?」
「彼女と、した、ちゃんと好きだって、言ってくれた
だから騙されてなんかいない
エリカにはわかんないよ」
は?は?
なんでエッチの話盛り込んだ?
自慢ですか?
経験者は語るとかいうやつですか?
私が処女だからわからないわけ?
ふっざけんなよ
「あそ、よかったじゃん
心配して損した。
大好きなアミさんとエッチできて良かったね。
私、帰るわ」
鞄を持って一度も振り返らずマヒロの家を出た。
星が綺麗だった。
初めて、けんかをした。
私が一方的に言ったせいだけど
涙が
やっと溢れた。