【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

てか誰よアミって

アミアミアミアミ…

そんなアミが好きなら漁業でもすれば?


自分の考えが
嘆かわしく感じられた。


なんであんなこと言っちゃったんだろう

ヒロちゃんが私だけに付き合ってることを打ち明けてくれたのに


どうして素直におめでとうくらい言ってあげられないんだろう。


次の日もその次の日も

私はヒロちゃんと会話しなかった。


夕飯も作りにいかなかった

初めてのけんかは
思ったよりも長くて

気持ちもなかなか冷めてくれなくて


しばらくすると


ヒロちゃんに彼女がいる話が出回り始めた。

もちろん、私は話していないけど


たぶん誰かが二人でいるところを見かけたんだろう。
そりゃそうだ


狭い町なんだから


私もあのあと何度か見かけた。

相変わらず幸せそうな顔しちゃって

ほんと、ばか



このときはまだよかった

ヒロちゃんはなんだかんだ楽しそうだったし

心が痛いのは私だけだと思っていたから


だけど

ある日


ヒロちゃんは一週間ほど学校を休んだ。

先生は風邪だと言っていた。

私はなぜか

ひどくやな予感がしていた。
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