【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「き、キノっ!?」
「マヒロは、絶対許してくれる
だから、仲直りしにいこうよ
ね、タカ」
「なんでいるの!?いつから!!?」
「だってタカ便所おせーから中まで探しに行ったのに居なかったから
そしたらここで七瀬さんと話してて」
トイレの中まで入っていったことはこの際スルーしよう
「全部聞いてたの!?」
「う、うんー、うん」
「バカっ!もう、バカー!!」
七瀬さんとマヒロくんの秘密がこんなぽろっと口走りそうなやつに知られるなんてっ
「ごめんなさい、七瀬さん!こいつにはちゃんと誰にも言わないように
見張ってるから!」
「はは、いーよ、別に
木野くんはヒロちゃんの友達だし」
「キノ!誰にも言っちゃダメだよ!」
「うん、俺絶対言わない」
ふんふんと頷くキノによしっと呟く。
私はもう一度七瀬さんに向き合い
しっかりと目を合わせた。
七瀬さんと
マヒロくん
二人のために
「私達、なんでもするからね
二人がまた幼なじみとして接することができるように」
「仲直り、大作戦?」
キノが呟く
「そう!やろう、七瀬さん!」
「け、けど、悪いよそんな」
「大丈夫、絶対、大丈夫だよ」
七瀬さんは眉を寄せて不安げな表情をした。
けれど
ゆっくりと頷いて
私の手を少し握った。
「優しいのね、高橋さん
ありがとう、本当に、ありがとう、
ごめんね、」
七瀬さんの目から
キラリと光るものが流れ落ちた。