【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
本当の七瀬さんは
思ったよりもずっと情に熱くて
マヒロくんが大好きな女の子だった。
七瀬さんの涙をみて
必ず二人をまた前みたいに戻してあげないとダメだと思った。
まだ、夏休みは続いている
次の日劇の練習があって七瀬さんは変わらず可愛らしいシンデレラ役をばっちりこなしていた。
劇練習後
七瀬さんと目があうと
七瀬さんはにっこり笑いながらキノと私に近寄ってきた。
「おつかれ、高橋さん、木野くん」
「七瀬さんもおつかれ、」
にっこり天使みたいな笑顔で七瀬さんは昨日の涙が嘘かのように明るかった。
「タカ、作戦会議しよう!」
思い立ったようにキノがそういった。
「そうだね、じゃあ、テラス行こうか」
頷く二人を見て、私達はテラスに向かった。
なんだか3人行動はいつもキノとマヒロくんだから
七瀬さんがいると新鮮な感じ。
「いい天気!」
七瀬さんは空に向かって手を伸ばしたあと、くるりと振り向いた。
「どんな作戦?」
「あ、タカ、頭にトンボ止まっ…らなかった」
「キノ、ちゃんとここにいてね」
キノの腕を掴んで勝手にどこかに行かないようにする。
作戦
家で少しだけ考えていた。
「いきなりはい仲直りしろ!てのもあれだから
とりあえず私がまずマヒロくんにそれとなく七瀬さんの話題を出して反応を見ようと思うの」
「なるほど」
「うん、そのほう安心して話せるでしょ?」
そうだね!と七瀬さんは嬉しそうに言った。
さっきから動きの止まったキノの顔を除き込むと難しい顔をしている。
するとキノは私の頬をぐにっとつまんだ。