【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「いっってえ」
「キノは人間の言葉がわからないの」
「なんだよ顔真っ赤なくせに、強がんな、いっったい!!」
ついでにもう一発。
キノが泣き目になりながらいっそう私を強く抱き締めた。
なんだって学ばないねこのバカ
「つ、次叩いたら、ちゅーする!」
「おっ、と」
降り下げる勢いがキノの言葉で弱まって
軽く
ぺちん、と
キノの頭に手のひらが当たった。
いやいや
今のはノーカウントでしょ。
「やったな」
「やってない」
「やった」
「やってない」
「よし」
「よしってなに!?」
キノの手のひらが
後頭部にかかる。
「ちょ、うそ、やっ、んんっ」
キノの頭が床から浮くと
私の頭を引き寄せた。
キノの両腕が私の首を後ろから取り囲んで逃げ場をなくした。
キノは顔を傾けながら何度か啄むようなキスをした。
ま、前と、違う
「ふっ、ん、んん、ぁ」
や、やめ
やめて!?
無理無理無理
キノの舌が
唇をなぞったとき
とてつもなく鳥肌がたった。
キノの胸を押し返してもびくともしない。
抵抗が無駄だと悟ったとき
舌に
何かが絡まって
私は為すすべなく
目をぎゅっとつぶった。