【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「ほ、ほら、七瀬さんシンデレラ役だから、
最近キノとも仲良くなったんだよねっ
だから、彼氏いるのかなって、き、気になるんだ…よね」
あれぇ
なんだか自分が言っている意味がまったく理解出来なくなってきた…
マヒロくんの表情は変わらないし
キノはアドリブ効かないし
…思ったより
聞き出すの
難しい…
マヒロくんの顔色がさらに暗くなる。
夕日がじわりじわりとマヒロくんの頬に逆光を当て、よけい、怖い。
「七瀬?」
「し、知ってる?あの、すごい、かわいいの…」
「さっきから、なにいってんの」
「い、いや、違うの、マヒロくんが七瀬さんのこと…じゃなくて
だから…あの、」
「キノ、お前、マジでいってんの」
マヒロくんの声が
低くなった。
やば…
ば、ばれてないよね
そんな、七瀬さんの話するだけでこんなに怒るなんて
どうして
マヒロくん、なんでそんなに…
うわ、なんか、泣きそうだ
「キノ、お前さ、高橋さんの前でなに言ってもいいと思うなよ
お前がそんなやつなら、もう、やめろよ」
「ごめん!マヒロくん!こんなせこいまねして!」
「はぁ?なんで高橋さんが謝るわけ?
高橋さんも高橋さんだ
そんな顔するならさぁ
さっさと別れろよこんなやつ」
「…………え?」
私はこのとき
涙を流していた。
これは、計画が破綻しそうになったと思って追い詰められていたことと
マヒロくんが
七瀬さんをこんなに怒っているんだと思ったからで
「高橋さん、ちょっときて」
「えぇえっっ!?」
なにやら
私の勘違いだったらしく
私はマヒロくんに腕を捕まれ
ベンチを立たされた。
マヒロくんにぐいっと腕を引かれると
がくんと
体が抵抗した。
キノがベンチから私のもう片方の腕を掴んでいた。