【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
めっちゃ、叫んだ
近所迷惑なくらい叫んだ
マヒロくんがビクッとこちらに向けた顔を両手でぎゅーっと突き放す。
なんでこんなことになったんだ!?
私は枕元にあった枕を盾のように胸に抱いてマヒロくんから距離をとるようにベットから降りて部屋の隅に逃げた。
半裸のマヒロくんが無表情で私を見据えた。
「高橋さん、おいでよ、」
平然と手招きするマヒロくんにブンブンと首をふるとため息をつかれた。
「まだ、キノのこと信じてんの
やめとけって、あんな適当バカ
マジでカエルの方行ったし」
「キノは、し、仕方ない
そういう人だから」
「仕方ないで済ますなよ
だいたい、そんなんで済むなら彼女でもなんでもねーじゃん」
「そんなこと、」
「俺と付き合ったらいいじゃん
そしたら悲しませないし、大事にしてあげる」
「なにいってるの」
また、わからなくなる
マヒロくん、気が動転してるんだきっと。
私なんか襲ったってなにも出やしないのに、
おかしい、絶対おかしい。
「やろうよ、俺、高橋さんとエッチしたい」
「な、なな、なにっ!?ちょっと落ち着こうよ、気が動転してるんだよ
私をよくみて、ほら、ただの特徴のない地味な高校生女子!
食ったってなんもいいことない!
目覚めてマヒロくん!!」
「やりたい、高橋さんがいい、高橋さんとしたい
キノなんか
どうでもいいじゃん」
「マヒロくん…」
ごろん、とベットに仰向けになったマヒロくんはそのまま黙り込んだ。