【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
もしかしたら
これが本当のマヒロくんなのかもしれない。
私が思ってるよりずっと
乱暴な人
こうなったのってやっぱり
昔のことがあったから?
けれどそれは年上限定じゃないの?
よくわからないよ
話さないと
「マヒロくん、」
私はゆっくりとマヒロくんに近づいた。
ベットに寝転がるマヒロくんを見下ろすとじっと私を見上げてきた。
「ごめんね、無理やり買い食いさそって
本当は、七瀬さんの話をしたかっただけで」
「…七瀬っ、て、」
「知ってるでしょ
マヒロくんの幼なじみのはずだもん」
マヒロくんは手の甲を顔の前に持っていくと深くため息をつき、横向きに寝返りした。
「あそ、あいつ、話したんだ」
「私が聞きたいって言ったの。
あまり聞いちゃ悪い気もしたんだけど
マヒロくん、前に図書館であったこと
ずっと、気になってて
マヒロくんは、本当はどんな人なんだろうって」
「どうもこうも
俺は俺だよ。
だいたい、俺、そんないい人じゃねーし」
「だって、いつもマヒロくんは優しくて面倒見もよくて
紳士な人じゃん」
「それは、高橋さん相手だからじゃん」
「え?」
「…………はぁ、ほんと、鈍感なのか何なのか…」
マヒロくんは再び私の腕を掴んで引っ張ると
またベットの上に背中をつけてしまった。
私、学ばねーな!
なんで二回も投げられてんの
「高橋さんって、口の割りに抵抗しないよね
まんざらでもない感じ?」
「ち、違う
普段こんなすばやい動きしないからっ、」
「うわ、色気ないなぁ、胸は思ったより大きいのに」
「ひっ、」
マヒロくんの指先が胸元をなぞり私はまた枕を盾代わりに構えた。
もう、いつの間にか会話がずらされる!!
「七瀬さんは、昔、マヒロくんに言ったことをずっと後悔してるの
あれからずっとマヒロくんのこと心配してる
本当はマヒロくんが七瀬さんのこともう怒ってないってことだけ聞きたかったんだけど」
「……へぇ」
「七瀬さんのこと、もう怒ってないよね!!」
「別に、もとから怒ってないし
…だいたい今頃、もうどうにもなんねーよ
俺が顔向けできねえ」
「どうして?」
「どうしてって、
あれだけけんかしてはい、けんか終了仲直りー、とはいかないだろ
時間もたったし、
いまさらだし
それに、」
そこでむぐっとマヒロくんが口ごもった。