『死』と言う名の何か【短篇集】
車通りの多い道の脇に子犬が一匹いた。

反対側を見つめる子犬は今にも飛び出しそうな勢いだった。

彼は反対側に視線を移す。

どうやらその子犬の親らしき犬がこちらの様子を伺っている。

なぜ、こんな状況になったのか彼にはわからないが、どう考えても渡れる気配はない。

50メートルくらい先に歩道橋があるがきっと子犬にはわからないだろう。

彼は子犬と歩道橋を交互に見つめた。

そして小さなため息をつき、子犬に手を伸ばした。
< 13 / 23 >

この作品をシェア

pagetop