『死』と言う名の何か【短篇集】
担任が次の話に切り替えようとした時だった。

ガタッと音をたて彼女が椅子から立ち上がった。

その音にみんなは一斉に彼女の方に視線を移した。

彼女は今にも消え入りそうな声を振り絞った。

「トイレに行ってきます」

その言葉に担任は了承し、彼女はドアを出た。

きっと、この場では泣けないからだろう。

思いっきり泣きに行くのだろう。

なんとなくそんな事を思いながら彼女の後ろ姿を見送った。
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