『死』と言う名の何か【短篇集】
下から響く鈍い音に我を失っていた俺は、意識を取り戻した。

何かを求めるかのように一つだけ開け放たれた窓に急いで駆け寄る。

そして、彼女の行方を探る様に真っ直ぐ下を覗き込んだ。

あぁ、鳥なんかじゃない。

彼女は天使なんだ。

コンクリートの上にうつ伏せになっている彼女。

彼女の体から流れ出す血液が天使が羽を広げたかのように広がっていく。

何事かと教室から出てきた者たちが、次々と悲鳴をあげた。

しかし、そんな事には気をとめず俺は、天使になった彼女をずっと見つめ続けていた。

【終】
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