君色に染まったままで
目が覚めると隣に秋人はおらんかった
スマホの電源を入れ、時間を確認する
4:55をデジタル時計が示している


ガチャッ


玄関のドアが開く音がしてのろのろとベッドから出る

「あきぃ、おかえりぃー」

「起きたんか、お前の荷物とってきた、勝手に部屋入ったで」

「おん、大丈夫、ありがとぉ」

秋人はうちの荷物を玄関に置くと、台所で朝ごはんを作り始めた
うちは玄関の荷物から制服を取り出して着替える

「彩葉、飯できたけん食おやー」

着替え終わってしばらくしてから秋人がうちに声をかけた
うちは小さな背の低い机に置かれた朝ごはんの前に座る
スクランブルエッグにトースト、それとサラダが綺麗に置かれていた

「いただきまーす」

「はーぃ」

うちはスクランブルエッグを一口頬張る
秋人は料理が上手い

「おいしい」

「当たり前」

秋人はそう言って笑った
その後秋人が寝ぐせを直してくれた

「え、ちょ、あきストップ!」

「なん?」

「それワックスやない?」

うちの問に秋人は平然と、「おん、そーやで」と頷く
うちの学校はワックス禁止だ
それは秋人も知ってるはずやのに

「ピアスしとる奴が何を今更」

秋人はそう言うと、うちの髪にワックスを付けていじった
鏡を見るといつもよりオシャレな自分がおって少しこそばゆい感じがした
うちは靴を履いて荷物を持った

「あき、ありがとう、行ってくる」

「これ」

秋人はうちに何かが入った袋を渡してきた

「これ、もしかして…」

うちがワクワクしながら中を覗くと、色鮮やかなおにぎりがいくつか入っていた

「お昼に食べや」

「やった!ありがと!!」

うちは秋人にお礼を言うともう一度行って来ますと言って秋人の部屋を出た
アパートを出て振り返ると見送ってくれよる秋人に手をふった

「今日もなんかあったら来いよー!」

「はーぃ!」

うちは少しオシャレな髪型で駅へと向かった
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