君色に染まったままで
先生が入ってきて一瞬睨まれた気がするけど
まぁ、いちいち気にするほどのことでもないやろ
「彩葉さ、先生に睨まれたことない?」
「そぉ?そんなことないやろ」
うちは蒼にそう返すと本に目線を落とす
全然本を読まないと言っていた彼が読んでた本
うちも丁度その時読んでた本
何回も読み返して、これで4回目くらいだ
「ではHRを終わります、日向さん後で来なさい」
「、、、気が向いたらいきまぁーす」
「絶対に来なさい」
先生の声色が少し怖かったから行くことにした
みんなの目線が集まる
「そんなに見てもなんも出てこんのに」
そう呟いて本を閉じた
何回も読んだ本はもうストーリーを覚えてしまってる
だからと言っておもんないってわけでもない
うちはチャイムと共に教室を出た
「先生、なんすか?」
教室から出てきた先生に声をかける
「あなた、成績いいのになんでそんな恰好なの?」
「別に言うほどの理由じゃないっす」
「ふざけてるの?のけなさい!!」
先生の甲高い声が耳を突く
なんでこんなに言われないかんのやろ
ほら、先生だって耳開けてるやん
「別にのけてもいいですけど、これないとうち今ここで発狂しますよ?」
「はぁ?」
「ここでうちが発狂したら先生が困りません?
評判悪くなりますよー、生徒泣かしたーって、生徒からの評判気になりますよねぇ
先生人気者ですもんねぇ?それでも私がこれをのけることを望まれますか?」
先生はたじろいで口をつぐんだ
ほら何も言えんやん、自分が大事なんやろ?
彼とは大違いや
何で教育者はこんな奴らばっかなん
うちは先生が黙ってしもたけん教室に戻った
「彩葉、大丈夫やった?」
「なんで蒼が心配するん、関係ないやん」
「冷たいなぁ、仲良くしようやぁ」
「、、、しゃーやで」
うちは蒼を睨んでため息をついた
クラスではもうグループとやらができていて
中心グループの子には警戒されてるみたいや
「日向さんってナリヤンやないん?」
「えー、ださー」
聞こえとる聞こえとる
その声ばっちり聞こえとる
面と向かって言えばええのに
うちのガラスのハートが割れるやん
あーゆー奴らは紫に見える
汚い紫、、、
「彩葉!」
廊下から莉帆がうちの名前を呼んだ
「んー?」
「練習道具持ってきた!?」
「大丈夫ー、持って来とるよ!」
うちはロッカーの上にあるエナメルバッグを指さす
莉帆は満足げにうなずいて帰ってった
わくわくしてる莉帆の背中は黄色く見えた
うちは結局ハンドをすることにした
おもしろそうやしやってみてもええかなって思ったけん
「あ、あの、日向さん」
名前を呼ばれて振りるとポンパドールの女の子が立ってた
「なん?」
「ラ、ラインのアカウント教えてくれん?」
え、うちのですか?