恋人は高校生組長
『隠し子ぉ?』



驚いて、思わず聞き返した。



『はい。秘かに産ませた子供がいると』

『へぇ、英祐さんもやることはやってたんだ』





一見、ヤクザとは思えないくらい穏やかで、優しげな風貌。

でも、額に一筋入った刀傷が印象的。



青龍組を率いていた組長、東浦英祐はそんな人だった。

……まぁ、私も写真でしか見たことがないんだけど。




英祐さんのことを思い出しながら、私はごくんとジュースを飲みほした。




すると、ワタルは、急に眉をしかめた。




『お嬢、下品な物言いはお控えください』

『え?』

『”やることはやってる”など、女性としての品格を疑います』




ワタルに睨まれ、私は肩をすくめた。


怖い怖い。

さすがヤクザの若頭だね。
…………ま、私は組長だけど?






『はいはい。えっと、それで?』
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