恋人は高校生組長
「お気を悪くされましたか?」




次にワタルさんの表情を見たのは、イサムと呼ばれていた金髪の若い男だ。

しかし、ワタルさんは頭を横に振った。




「違う。ちょっと嬉しかったのさ」

「う、嬉しかった?」




イサムがオウム返しに尋ねる。

いや、『嬉しかった』くらいでビビられすぎだろ、ワタルさん。




「やっと、平和にこぎつけたんだな、ってさ」



そう言って、ワタルさんは穏やかに笑った。

ワタルさんには怖い顔より、笑顔のほうが似合うと思った。
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