恋人は高校生組長
ワタルが、うるんだ目でうなずいた。

ワタルがかけている銀縁の眼鏡が、涙を反射するみたいにキラッと光った。




「立派な最期だったと」

「そう。……ありがとう、ワタル」




私も泣きそうだったけど、必死に涙をこらえた。



だって、私……

組長なんだから……






「では、組長……皆に披露目を」

「分かったわ」





組の者に全てを伝えるのは、現在の組長である私の役目だ。


先代の組長が死んだっていう一大事なら、なおのこと、私じゃなきゃダメだ。






「大座敷で、みんな待っています」


ワタルがそっと囁いた。
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