Mr. Unknown
娼婦の証言
 そりゃあたし達娼婦だって忘れられない男の1人や2人はいるさ。


 でもあの人は特別だった。


 別にひいきして言ってるんじゃないよ?


 思い出したら良い年しても未だに乙女の様に心踊るのさ。



 私達はみんな心の底ではこの生活にうんざりしているよ。


 でも、どうしようも無いから酒や阿片なんかでごまかしてんのさ。


 馬鹿みたいに笑って昔の思い出に生きてね。


 そんな道化みたいな生活をしている時に彼はやってきたのさ。


 今でもあの運命の日を思い出す。

 あれは激しい雨が降る夜の事だったね。

 
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