Mr. Unknown
バーテンダーの証言
 俺は昔、といっても今でもだが、ただのしがない雇われのバーテンダーだった。

 
 酒場には昼間から酒に酔おうと、口の臭いろくでなしどもがいつも集まっていた。


 贅沢者は葉巻を吸い、貧乏人は手製の煙草をせっせと作っている。


 そいつらはポーカーでいつも小競り合いを起こす面倒な客どもだった、

 といっても今でもだがな。


 こんな稼業からは足を洗いたいと思っていたある日の事だった。

 
 それは忘れもしない、あいつがやって来た日だった。

 
 今でも思い出す。

 
 髭もパリパリに乾く様な、うだるような暑さの中あいつは店に入って来たんだ。
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