Mr. Unknown
 こういう商売を長年やっていると人を見る目が養われるもんだ。


 そいつを見れば直ぐにどういうやつか分かった。

 
 荒野をかけてきたのであろう埃を被った帽子。

 
 日に焼けた健康そうな肌。

 
 深く刻み込まれたしわから覗かせる油断の無い目。

 
 使い込まれたガンベルトに刺さる木製の銃のグリップは磨り減っていた。

 
 
 俺は手袋をとった男の手を見る。

 
 やはり、そこいらのひよっこどもと違う、

 ガンマン特有の火傷がどす黒く光りこいつは危険な男だと警告する。

 
 俺は当然ウイスキーだろうと気を利かせ、

 気が利いたバーテンだと自己紹介する為、

 ショットグラスにバーボンを溢れさせながら注いでやった。


 
 しかしそいつは予想外の事を言いやがったんだ。
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