Mr. Unknown
 
 3月10日


 あの銃を参考に同タイプの銃を改造した。


 奴の銃は照準がすり減っていた。


 早抜きの練習をしたのだろう。

 だからあえて照準は引っ掛かる事の無いように落とした、

 銃口も抜きやすい様に限界まで削り、檄鉄もハンドメイドに変えた。


 トリガーは壊れぬ様にギリギリまで軽くし、

 中の部品も自作した強度が高い特注のストックを全て使った。


 どれもが自信作で最高傑作だった。




 3月16日


 男が様子を見に来た。

 わしは時間が欲しいと頼んだ。


 どうしても最高の物を渡したかったからだ。



 何故そこまでするのかと男は聞いた。


 お前も何故銃が壊れるまで使ったのかとわしは言った。



 男は少し笑って、去っていった。


 今日は銃口からヤスリを入れて砲身を変えてみようと思う。




 3月20日


 前から頼んでいたホルスターが来た。


 信頼している仕事仲間は見事に期待に答えてくれた。


 元からお互いを知っていたかの様にワシの銃は収まった。




 奴が来るのが楽しみだ。


 これ程の銃は西部中を探しても見つかるまい。


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