Mr. Unknown
 
 3月21日
 

 使いの話しを聞いてやって来た男は出来上がった銃を見ると無言で立ち去ろうとしやがった。


 ふざけるな!

 最高の銃だぞ!



 俺は試し撃ちを見せてくれと半ば強引に庭へと出た。


 目標にと酒瓶を並べて置いたのだ。


 奴はまず右を抜いたがそれは外れた。


 そして次に左を抜くと見事に酒瓶は砕けた。




 そしてそいつは驚く事を言いやがった。



「流石に名の通った男だ。

 
 この兄弟、双子の様に癖が同じだな」



 右手で感覚を掴み、左で修正しやがったんだろう。 

 
 男は再度右で撃ち、同時に左を撃った。

 
 後でみたらそれは木柵のほとんど同じ位置に当たっていた。

 
 両手使いってだけでも珍しいのに、


 全く大した腕だ。


 まるでサーカスを見ている様だった。

 
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