Mr. Unknown
 
 読み終えましたか?

 
 その話しには後日談が、それは仕事が全くなかった日でした。


 その男はスッと入って来て辺りを見回すと

 「じいさんは?」

 と言ったんです。


 私はまたか、と思い、

 父が死んだ事を伝えました。

 

 けど彼は他の客とは違いました。

 
 私を哀れむ様子もなく、舌打ちする事もありませんでした。



「約束を破る様な男ではなかったんだがな。


 うっかりはあったが」



 それでピンと来ました。


 私は銃を見せて欲しいと彼に頼みました。



「どうも弟の方がな。


  風邪をひいたようだ。

   見てやってくれるか?」


 その銃は涙で良く見えませんでしたが、

 確かに父の作った銃でした。



 いやそれ以上の物です。


 彼が育てたでしょう。


 父の言葉をこの時理解したんです。
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