Mr. Unknown
 私は作業部屋に入ると早速兄弟をばらしに掛かりました。


 中には今まで見た事の無い非正規品の山。


 改めて父の偉大さが身に染みました。



 そして私はドキドキしながら父から預かっていた木箱を取りだしました。


 父が死んでから初めて開けたんです。



 予想通り、

 その箱の中には四対の素晴らしい木製グリップが入っていました。


 そこには焼きごてで丁寧に書かれた私そのものが描かれた物でした。



 日記には最高の女と書いてあったのに…


 私は嬉しく、そして寂しく思いながら銃にそれを取り付けたんです。


 ピッタリに、まるで完成を待っていたかの様に黒いその銃は輝いて見えました。
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