手の届かないキミと


リョウさんは私が落ち着くまで、何も聞かずにただそこにいれくれた。

申し訳なくて、謝ろうと私が口を開こうとすると、

「大丈夫だから、気にするな」って、言ってくれた。


大人なリョウさんに、安心した。

リョウさんになら、私の心のすべてを打ち明けられるような気がしてくるから不思議。

これが大人ってものなのかな。

まだ高校生の私には、リョウさんみたいな余裕なんてこれっぽっちもない。

惨めなくらいに、目の前のことに必死なの。



「…今回は違うと思ったんだけどな」

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