手の届かないキミと


「なら、しなくていいよ」

「え…」

リョウさんのやさしい声が降ってきた。


「そんなに、アキちゃんが苦しむことないよ」

向こうから、村山くんが走ってくるのが見えた。


「アキちゃんみたいな子が、ハルに苦しめられることない」

リョウさんの言葉は、魔法みたいだ。

私の決断できなかった心が、決意を固めていく。


「…楽なほうに、行ってもいいのかな」

「ん?」


「苦しくないほうに、私…行ってもいいんですか…?」

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