手の届かないキミと
「古畑!」
そのとき、村山くんが私の名前を呼んだ。
「村山くん…」
このまま、流されてもいいのだろうか。
私、楽なほうに行っていいのかな…
こんなこと、欲張りだって思う。
村山くんに「好き」って言ってもらえて、うれしいだけの私じゃないことが嫌だ。
ちらりとリョウさんを見ると、リョウさんは私に笑いかけてくれた。
いいのかな、いいのかな。
私…
「古畑、一緒に帰ろう?」
……こんな地味な私だって、守られたいの。