手の届かないキミと
帰りの電車は空いていた。
まだ昼下がりのこの時間、海からあがって帰る人は少ない。
村山くんと二人、並んで座席に座って、窓の外の海岸線を眺めた。
今頃みんなは、まだビーチバレーをやっているだろう。
もう決勝戦くらいになるかな?
そんなことを考えていたら、「古畑」と村山くんに名前を呼ばれた。
ゆっくりと村山くんに顔を向けると、村山くんは真剣な面持ちをしていた。
村山くんまで帰らせるようなことになってしまって、申し訳なくなった私は、「ごめんね」と謝った。