手の届かないキミと


そうでも思わなきゃ、心がつぶれそうだ。

私がやるべきことはひとつで、邪念はいらないの。


そう戒めておかないと、助けを求めてしまいたくなる。


ゆっくりと瞼を開くと、担任が教室に入ってくるのが見えた。

はっとして彼の席に目を移してみるけど、…まだ来ていないみたい。


「おー出欠取るぞー」

教室を見渡した担任は、ため息をつく。


「今日も杉浦はいないのか。昨日はちょろっと来たんだけどな」

担任があきれたように、出席簿に記していると


「いまーす。出席でーす」

そう言いながら、ハルくんが教室に入ってきた。

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