手の届かないキミと
「杉浦、お前遅刻な」
「ギリ間に合ってまーす」
「あーわかったよ。わかったから、そのくっさい香水はどうにかしろ」
担任は出席簿を閉じて、それでパタパタとハルくんのほうに向かって扇いだ。
「それじゃあ、明日から連休でそれが明けると終業式になるんだが…」
つまらない担任の話は、ぼんやりとした頭には残らずに過ぎていく。
大切な話は、どうせこのひとからじゃ聞けないし。
よく担任に呼ばれる私は、職員室の黒板を見たほうが早い。
それよりも、今の私には…
彼の背中しか見えない…。