手の届かないキミと


ハルくん…


机に突っ伏したハルくんの目の前までくると、

「古畑」

と、教室のどこかから村山くんに名前を呼ばれた。


でも今の私には、村山くんの声にいちいち振り返ってる暇はない…


「…ハルくん」


村山くんが私の名前を呼んだせいで、おそらくクラスの注目は私に集まっている。

そんなの、気にしていられないけど…



消え入るような私の声に気づいてか、それともただの気まぐれか…

ハルくんがゆっくりと顔を上げた。


まっすぐで綺麗なハルくんの瞳が私をとらえて、胸がきゅうっとする。

この気持ち、キミに伝えるの。

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