手の届かないキミと


「おう、起きたか。」

そう言った西村くんの声に反応して「え、ほんと!」と言う声がする。


この声は…


「古畑さん!具合どう??」

心配そうに眉をひそめる黒岩さんが、カーテンのむこうからちょこっと顔を出す。


「ごめんね。起きたときにそばにいたのが西村くんで」

「別に、いいだろ、俺でも」

「よくない!」

そう言って、黒岩さんは西村くんを押しのけてベッドサイドに駆け寄ってきてくれた。


「今ね、多田くんに荷物持ってきてもらうように頼んでたんだ」

黒岩さんの口から多田くんの名前が出て、思わず目を見開く。

だって、多田くんって…

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