手の届かないキミと


「おう、友達!」

ニカっと笑う多田くんは、きっと裏表なんて全然なくて、誰に対してもこんな感じなんだろうなって思う。


「友達って…」

言い淀んだ私に、西村くんが怪訝そうに尋ねる。


「俺たちとお前、友達じゃねーの?」


「たしかに私、ひとりになっちゃった古畑さんに声をかけてあげられなかった。

でもっ…もう二度とそんなことしないから。

たとえクラスの全員が無視しても、私たち3人はずっと古畑さんの見方でいる。

私たち3人は、古畑さんの友達だから。約束するよ。」


うれしくて、瞳にうるうると涙が溜まる。

こんなにはっきりと、言葉にして”友達”って言われたのは、初めてかもしれない。

とっても、とっても、うれしい…
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