手の届かないキミと
Side ハル
俺の初恋は、いろんな意味で強烈だった。
『おれ、おまえが好きだ』
それは俺の初めての恋で、初めての告白だった。
…右手にはスコップ、左手にはバケツを持ちながら。
両方ともプラスチックでできたそれは、幼児が遊ぶための典型的な砂場セットのものだ。
まだ俺は幼稚園の年少だったんじゃないかと思う。
立ち上がってそんな宣言をする俺の隣で、サトルは平然として砂でだんごをつくっていた。