手の届かないキミと
『入部希望なんですけど…』
菊谷に敬語で話してたあたり、俺もまだ可愛かったな。
まあこんなエセ教師、すぐに敬語使うなんてやめたやったけど。
『そう。でもここ、部員2人しかいないよ?』
『はい?』
『ひとりはカナヅチで、ひとりは不登校。』
俺は菊谷の言ってることが理解できなかった。
『だから、活動しようと思っても、うーん…難しいなぁ』
そう言いながらふぅーっとたばこの煙を吐き出した菊谷。
『…それでもいいですよ』
『んー?』
『俺、泳ぎたいだけなんで』