手の届かないキミと
ただ単純に『好き』って言葉しか言えなかったけど、
それ以上の気持ちを表せる言葉、語彙力の乏しい私には見つけることができなかった。
”好き”以上に気持ちを伝えられる言葉を、私は知らない。
「アキ」
「…うん?」
「はい、これ。アキってどんなの歌える?」
隣に座るナナが私にカラオケの選曲をする機械を渡してくれた。
カラオケ店に着くと、誰かが予約をしていたのだろう大きめの部屋に案内された。
私のことを気にかけてか、右隣にはナナが、左隣には多田くんが座ってくれている。
西村くんはちょっと離れたところにいる。