手の届かないキミと
ナナの右隣には女の子が何人かいて、その奥に村山くんがいる。
多田くんの隣はドアで、どのドアを挟んだ向こうのカーブになってる席のところ。
そこに、ハルくんがいる。
いつもと変わらない、ハルくんがいる。
「これはどう?」
ついハルくんを見てしまっていた視線を選曲の機械に戻して、ナナが指さす曲名を見る。
「う…ん。歌えるけど、どうだろう?」
それはある有名なアニメのオープニング曲。
若者のファンが多い女性歌手がカバーしたことでもよく知られてる。
だから、私も知っていて、歌えるけど…