手の届かないキミと
「はい」とナナからマイクが渡されて、私たちの歌う番が来たんだって思う。
みんな歌う子はモニターのそばまで行って歌ってたんだけど、
ここからでもモニター見えるし、座ったまま歌おうって提案してくれた。
クラスの子たちの視線が気になる私を気遣って、そう言ってくれたのだろう。
でも私も、いつまでもうじうじとしてるわけにはいかないんだ。
「立って歌おう?」
そうナナに言うと、一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔で「うん」と返してくれた。
モニターのとこまで行って、みんなの前に立って歌うなんて、
私は緊張して、ビクビクしてしまうだろう。