手の届かないキミと
ある声に気づいて、私は机の上のノートに目を落とす。
その声が近づいてきて、イスをがたっとひく音がした。
「おはよー」
はっとその声のほうを見ると、登校してきた西村くんが、眠そうなあいさつをしてくれたことに気づいた。
「お、おはよう…!」
がんばって敬語にならないようにしてみたんだけど…そんなこと、西村くんが気づくわけないか。
ちょっとだけがっかりしながら、私の目線は彼の姿を探していた。