手の届かないキミと
怒ってるのかなって思って、思わずびくっとしてしまったけど
「怒ってないから。朝はこんなんなの、我慢して」って
そう言った陽は私に手を差し伸べてきた。
「朝弱いし、話できねーけど」
私はその手を取ると、陽を引っ張るようにして歩き出した。
いつもは斜め前に見える背中が、いまのときばかりはうしろからついてくる。
これも、悪くないかもしれない。
そんなことを考えていると、ふわりと髪を撫でられる感覚がして、私はうしろを振り返った。
まだ眠そうに少しぼけーっとした顔の陽が、私のサイドテールを撫でる。