手の届かないキミと


「は、る…?」

心のなかで呼び捨てにするのは簡単だけど、口にするのはまだ難しい。

でもそんな私のことなんて気にならないといったように、陽が口を開いた。


「横のほうが好きなの?」

きっと、ポニーテールじゃなくてサイドテールなことを聞いているのだろう。


「ポニーテールだと首にまとわりついてちょっと気持ち悪いし、それに…」

ポニーテールをするときは、ミチルさんにもらったシュシュをしたいの。

だから今日は、朝早くに屋上行って探したかったんだけどな…。


「これ?」

「え?」

陽はひょいっと私の目の前に出したのは、ミチルさんにもらったピンクのシュシュ。

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