手の届かないキミと
クラスが静かになって、私と陽の言動を見つめるなか、
陽はぐんぐんと私の席のほうに近づく。
そして、私の隣の席に西村くんが
「おはよー」といつものようにあいさつしてくれたのに、
「言ったじゃん。この前、俺の席ここだからって」
「は?」
「え?」
「へ?」
私と西村くん、それに近くにいた多田くんまでもが変な声を出して驚く。
「だから、ここ、俺の席」
どうしていきなり不機嫌なのか、わからない私たちは陽に従うしかない。
それでもやっぱり、西村くんは陽のことはすべてお見通しなようで、深いため息をついた。